忘却曲線を意識した短期記憶の残し方

忘却曲線を意識した短期記憶の残し方 効率化

スマホやタブレットなどの端末を持っていれば、必要な情報を手軽に探したり、取り出したり出来る時代となってきています。ただ、ビジネスシーンでは端末から得られるデータだけでなく、暗記している情報や考察を添える方が話が上手く進むことは少なくありません。ビジネスシーンでも役立つ暗記に関する情報、効率の良い記憶方法などを簡単に見ていきましょう。

忘却曲線とは?

忘却曲線を意識した短期記憶の残し方

何らかの情報を記憶する際に、知っておきたい言葉が忘却曲線です。

忘却曲線とは、時間と共に記憶が薄れていく様子を示すグラフです。グラフは、記憶をしてからの時間、そして脳に残っている記憶の割合を示す節約術からできてきます。

どれだけ頑張っても、脳内の記憶は時間と共に薄れていく仕組みとなっています。記憶から1時間経過すれば、記憶量は半分以下に、そして1日経過した頃に残っているのは最初に覚えた事柄の33%程度です。この割合は、1週間・1ヶ月など時間が経過するにつれ、さらに下がっていくことになります。

ビジネスシーンなどで覚えなければいけないことができた時、新たに何かを学ぶ機会が発生した時には、人の記憶は絶対ではない、忘却曲線に従うように薄れていくものと覚えておく方が良いでしょう。

エビングハウスの忘却曲線とは?

エビングハウスの忘却曲線とは、19世紀のドイツの心理学者でヘルマン・エビングハウス(1850年1月24日-1909年2月26日)が導き出した理論です。記憶がどのくらいのスピードで忘れていくかを調べ、時間の経過と人の記憶の変化を示しています。

子音・母音・子音」から成り立つ無意味な引接を記憶し、再生率を調べ、曲線を導き出しました。特に意味がない音節を作ってどれだけの記憶が保てるかを検証しました。

20分経過で、42%を忘れます。
1時間経過で、56%を忘れます。
1日経過で、74%を忘れます。
1週間経過で、77%を忘れます。
1ヶ月経過で、79%を忘れます。

「時間と記憶の定着率の関係」の研究結果を発表しました。
人間の脳は構造的に忘れるようになっています。よほど印象に残るもでない限り、すぐに忘れてしまいます。

この忘却曲線を考慮して最適な暗記方法を意識することによって勉強の仕方は大きく変わるのです。忘れやすいタイミングで復習することです。

忘れてしまう記憶とは

人の記憶は、いずれ全て消えていくという訳ではありません。

記憶の中には、ずっと頭の中に残る長期記憶と短期記憶が存在します。何が長期記憶になるか短期記憶になるかは、その人の関心度と環境によって変わります。

元々関心のある内容であれば長期記憶として脳に残る可能性が高まりますが、興味のない内容は短期記憶となり時間と共に消えていくことが殆どです。さらに、関心がなくても生きていくために必要なことなど、重要な事柄は長期記憶となりやすい傾向となります。

どれだけ必死で覚えておこうとしても、関心のない出来事は短期記憶に分類されていく確率が高まります。忘れるまでの期間は、内容や人によって異なりますが、数分程度で消えていくことも少なくありません。

短期記憶を長期記憶に変えることは可能?

暗記しようとしても、記憶の大半は短期記憶として消えていきます。

ただ、関心や興味がなくても、どうしても覚えておかなければいけない事柄に遭遇することは珍しくありません。特に、商品や製品の情報など仕事上で必要となる事柄は、短期記憶とならないようにしっかりと覚えておくことが大切です。

仕事は大切と考えることで、しっかりと暗記できる人もいます。しかし、どうしても難しい場合は、短期記憶が消えてしまう前に、もう一度同じ内容を振り返ることが有効です。本来であれば、短期間で消えてしまう事柄であっても、もう一度振り返ることを繰り返せば、長期記憶へと変わっていきます。

短期記憶は何故すぐに消えるの?

短期記憶がすぐに消えていくのは、覚えている必要がないためです。

学んだ情報の中でも、生きていく必要がないものと判断される内容は、短期記憶に分類されてしまうことは少なくありません。ただ、それ以外にもう一つ存在するのが、長期間覚えている必要がない情報に対して使う記憶力です。

その代表が、一時的な入力に使う認証番号などに関する記憶です。画面に表示された4桁の数字を入力するまで、その数字を覚えておくという行動でも、使われているのが記憶力です。覚えた数字は入力をすると、すぐに記憶から消えていくことが殆どです。こうした短期記憶も多く存在します。

脳自体、必要な記憶は忘れていく仕組みとなっていますが、コツさえ覚えれば本来消えていく筈の記憶も、脳内に留めておくことができるようになります。

重要となるのは復習

短期記憶を残すために重要となるのが、復習です。

数秒程度で消える短期記憶であっても、消える前にもう一度同じ情報を振り返れば、脳に残る時間が長くなります。復讐は短期記憶を呼び起こし、印象付けることができる行為です。さらに、もう一つ脳を騙す効果も期待できます。

絶対に覚えておかなければいけないと思っていても、脳が勝手に忘れていくことは珍しくありません。そんな状態を回避するためには、同じ情報を繰り返しインプットして、脳に大切な情報だと錯覚させていくことが有効です。気持ちで覚えようとするのではなく、脳を騙しインプットしておくことで、時間が経っても忘れることがない長期記憶へと変えていくことができます。

復習のタイミングは

短期記憶を長期記憶に変えていくために重要となるのが、タイミングです。

そして、そのために必要となるのが忘却曲線です。人の記憶は同じ割合で失われていくのではなく、初日は大きく、その後は緩やかに消えていくことになります。

短期記憶を長期記憶に変えるためには、記憶量が大幅に減る記憶から1日目までの間に1回復習をしておくことが有効です。その後は1週間後、その次は2週間後など、間をあけながら記憶を繰り返していくことが有効です。

復習のタイミングが遅くなれば、記憶が上手く長期記憶に切り替わらない可能性が出てきます。そのため、大切なことを学んだ後や覚えなければいけない事柄ができた時には、その記憶を留めておこうとするだけでなく、復習をするスケジュールも組んでおくと良いでしょう。

記憶が苦手、覚えてもすぐに忘れてしまうという人でも、忘却曲線を意識して復習を行うことで、大切な情報を忘れず記憶しやすい状態へと変わっていくでしょう。

どのタイミングで勉強すれば記憶を保持できるか?

勉強してから24時間以内に、10分間の復習をすると、記憶は完全に戻ります。
次回の復習を1週間以内に、5分すれば、また記憶が蘇ります。
学習率がこれで5倍以上も上がります。良いタイミングで復習をしていくと、効率が上がり習得出来るのです。

おすすめの復習計画1

人によってタイミングは異なります。
1回目の復習は見返す程度でも良いです。そして、必ずエビングハウスの忘却曲線からすると、2日以上経つと大体が忘れてしまいます。せっかく覚えたのが勿体ないので絶対に復習をしておきましょう。翌日に復習することが大事です。同じものを3回以上行うことで忘れにくくなります。

覚えてすぐに復習をする。
半分の時間で1日経ってから、再び復習する。
さらに半分の時間で1週間経ってから復習する。
さらに半分の時間で2週間経って復習する。
さらに半分の時間で1ヶ月経って復習する。

このように5回復習します。こうして効率をはかり、勉強していくことで記憶力も上がり、学校の試験や受験などに活用出来るのです。 

おすすめのタイミング復習計画2

1日後、4日後、7日後、11日後、2週間後、3週間後
このようなタイミングを推奨されている人もいます。

エビングハウスの実験で、意味のない単語を覚えると、脳は無意味な情報や不必要な情報は削除していきます。これは、重要な情報を覚える容量を確保するためです。それをもとに、勉強法ではストーリーや関連づけすることによって忘れにくくなります。例えば、語呂合わせなどをすることにより忘れにくく出来るのです。

一度目は、忘れることが前提で学習します。1度で全て暗記することはなかなか出来ません。2度目の復習からが大事だということを思って取り組みましょう。
単語などを覚えるのは、復習が大事です。一度にたくさんの単語を覚えるよりは、複数回にわけて復習をすることです。

復習のリサイクルが早ければ早いほど効率はよくなります。
2時間以内のタイミングで軽く復習をすることで忘れにくくします。

就寝前に復習する

寝ている間に記憶が定着すると定説になっているからです。人の記憶は、夜眠っている間に整理されています。寝る前の1~2時間は、記憶が定着されやすい時間帯となっているので復習するのに効率が良い時間帯となります

週末のまとまった時間にじっくり復習するのもよいでしょう。平日に習った全体の流れを確認して復習できます。
授業で学習したことを、直後に短時間で復習して、その日の夜にサッと見直して、週末にじっくり復習します。
このように復習する習慣をつけることです。習慣化することによって復習が容易になります

完全に単語を忘れてしまうタイミングの直前に復習するのが1番効率が良い復習法となります。復習といってもサッと頭のなかで考えるだけでもいいのです。
自分のタイミングがあるので、思い出せる場合は復習の頻度を空けてもいいかもしれません。時間帯を発見することであとは効率よく復習を行えば、学習の効率も上がります。単語の暗記や、物理、数学などいろいろなジャンルで学習してみましょう。

脳は重要な情報だと判断されたものだけに大脳皮質で記憶として長期保管します。
生存に必要かどうか、今後も使うかどうかで情報を仕分けしていきます。記憶を定着させることで、これは重要な情報であると認識させるのです。

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